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士業の書籍代は経費にできる?税務上の判断基準と節税のポイントを税理士が解説
士業の書籍代は経費にできる?税務上の判断基準と節税のポイントを税理士が解説
弁護士や税理士、行政書士などの士業にとって、最新の法改正や実務知識をアップデートするための情報収集は欠かせません。その際にかかる多額の書籍代を「正しく経費として計上したい」と考えるのは当然のことです。しかし、どのような書籍でも無条件に経費として認められるわけではありません。本記事では、士業が書籍代を経費にするための具体的な基準や、税務調査で指摘を受けないための管理方法、さらには電子書籍の取り扱いまで、税理士法人Honorsの知見を交えて詳しく解説します。
目次
- 士業の書籍代は原則として経費計上が可能
- 経費として認められる書籍の具体例
- 経費にできない、または判断が難しいケース
- 電子書籍(Kindle等)を経費にする際の注意点
- 税務調査で否認されないための対策
- 複雑な経費判断は税理士法人Honorsへご相談ください
- まとめ
士業の書籍代は原則として経費計上が可能
結論から申し上げますと、士業が業務のために購入する書籍代は、原則として必要経費に算入できます。士業という仕事の特性上、常に最新の情報を入手し、専門性を維持することは業務を遂行する上で不可欠な行為だからです。
勘定科目は「新聞図書費」が一般的
会計処理を行う際、書籍や新聞の購入費用は「新聞図書費」という勘定科目を使用するのが一般的です。もし年間の購入額がそれほど多くない場合や、管理を簡略化したい場合には「事務用品費」や「消耗品費」として処理することもありますが、後から振り返ったときに「何を目的とした支出か」を明確にするためには、新聞図書費として独立させておくことが推奨されます。
業務遂行に直接関連していることが条件
経費として認められるための大原則は「事業に関係があるかどうか」です。その書籍を読むことで、顧客への提案の質が上がったり、受任している案件の処理に役立ったりするのであれば、それは立派な事業経費となります。逆に、個人の楽しみのために購入した書籍は、たとえ知識が深まるものであっても家事費(プライベートな支出)とみなされ、経費には含まれません。
経費として認められる書籍の具体例
具体的にどのようなものが経費として認められやすいのか、士業の実務に即して解説します。
専門書・実務解説書・判例集
法律の条文解説書、六法全書、判例集、実務マニュアルなどは、士業にとっての「商売道具」です。これらは金額が高額になることも多いですが、業務上の必要性が極めて高いため、全額を経費として計上できます。また、定期的に更新される加除式資料の購読料も同様に新聞図書費となります。
業界紙・経済新聞・ビジネス雑誌
日本経済新聞などの一般紙だけでなく、税理士であれば税のしるべ、弁護士であれば自由と正義といった業界専門紙の購読料も経費です。また、週刊ダイヤモンドや週刊東洋経済などのビジネス誌も、クライアントの業界動向を知るために購読しているのであれば、経費として妥当性が認められます。
有料のWebニュース購読料・データベース利用料
近年では紙の媒体だけでなく、日経電子版や、判例検索データベース、税務判例のオンラインサービスなどの利用が増えています。これらは形こそ書籍ではありませんが、情報の性質としては書籍代と同じであり、新聞図書費として計上が可能です。
経費にできない、または判断が難しいケース
何でも経費にできるわけではない点に注意が必要です。特に税務調査で焦点になりやすいポイントを整理します。
趣味・教養目的の小説や漫画
ベストセラーの小説や娯楽目的の漫画は、原則として経費になりません。たとえ「その小説に描かれている人間模様がクライアントへの接し方の参考になる」と主張したとしても、税務署には主観的な理由と捉えられ、家事費として扱われる可能性が非常に高いです。ただし、漫画形式の実務解説書など、明確に業務知識の習得を目的としたものであれば経費として認められます。
資格取得のための学習費用
既に開業している士業が、業務に関連する別の資格(例えば税理士が行政書士資格を取るなど)を取得するための参考書代は、業務範囲の拡大という側面があるため経費として認められやすい傾向にあります。しかし、開業前の学生や会社員が士業資格を取るために購入した書籍代は、開業準備費として認められる場合もありますが、基本的には「自己研鑽」の域を出ないものとして厳しく判断されるケースもあります。
電子書籍(Kindle等)を経費にする際の注意点
最近ではKindleなどの電子書籍で購入するケースも一般的です。電子書籍も紙の書籍と同様に経費にできますが、領収書の発行方法に注意しましょう。Amazonなどのプラットフォームでは、注文履歴から領収書をダウンロードする必要があります。また、個人のアカウントと事業用のアカウントが混在している場合は、事業用の書籍のみを抽出して正しく集計しなければなりません。
税務調査で否認されないための対策
税務調査の際、書籍代は「私的な購入が含まれていないか」をチェックされやすい項目の一つです。以下の対策を講じておきましょう。
領収書やレシートの保管を徹底する
クレジットカードの明細だけでは、具体的に「何の本を買ったか」までは分かりません。必ず品名が記載された領収書やレシートを保管しておきましょう。ネット購入の場合は、PDF形式で領収書を保存しておくことが重要です。電子帳簿保存法への対応も視野に入れ、適切な形式で管理しましょう。
業務との関連性を説明できるようにしておく
もし、一見すると実務に関係なさそうな書籍(例えばデザインの本や心理学の本など)を購入した場合でも、それが「事務所のパンフレット作成のため」や「クライアントとの交渉術向上のため」といった明確な業務目的があるならば、その理由をメモしておくと安心です。税務調査官に質問された際、即座に業務との関連性を説明できる状態にしておくことが、否認を防ぐ最大の防御となります。
複雑な経費判断は税理士法人Honorsへご相談ください
士業の経費判断は、書籍代一つをとっても「どこまでが実務で、どこからが趣味か」という境界線が曖昧になりがちです。また、最近のインボイス制度や電子帳簿保存法への対応など、事務負担は増すばかりです。
税理士法人Honorsでは、士業の皆様をはじめとした個人事業主・法人の方々に対し、税務申告だけでなく、効率的な経理システムの構築や節税対策のアドバイスを行っています。「これは経費になるのだろうか?」という小さなお悩みから、経営全体のコンサルティングまで、専門的な知見に基づいたサポートを提供いたします。
まとめ
士業にとって書籍代は、知識という最大の武器を維持するための投資です。業務に直結するものであれば自信を持って新聞図書費として計上しましょう。ただし、私的な支出を混ぜないこと、そして万が一の際に理由を説明できるよう証憑を整理しておくことが肝要です。適切な会計処理を通じて、健全な事務所経営を目指しましょう。
