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士業における退職勧奨の適切な進め方とは?リスク回避と実務対応のポイント

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士業における退職勧奨の適切な進め方とは?リスク回避と実務対応のポイント

弁護士、税理士、公認会計士、社会保険労務士といった士業事務所において、職員のパフォーマンス不足や素行不良は組織全体の信頼に関わる重大な問題です。しかし、安易な解雇は不当解雇として訴えられるリスクが高く、慎重な対応が求められます。そこで有効な手段となるのが「退職勧奨」です。本記事では、士業事務所における正しい退職勧奨の進め方や、法的なリスクを最小限に抑えるための実務上のポイントを詳しく解説します。

目次

退職勧奨と解雇の決定的な違い

実務を進める上で、まずは退職勧奨と解雇の定義を明確に区別する必要があります。退職勧奨とは、雇用主が従業員に対して「退職してほしい」と打診し、合意による契約終了を目指す行為です。これに対し、解雇は雇用主が一方的に労働契約を解除する行為を指します。

士業事務所において解雇を選択する場合、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要です。これらは非常にハードルが高く、要件を満たさない場合は不当解雇と判断される可能性が否めません。一方、退職勧奨はあくまで「話し合い」であり、従業員が自由な意思で応じる限り、法的なリスクを低く抑えることが可能です。組織の調和を守るためには、強硬な解雇よりも、納得感を醸成する退職勧奨が推奨されます。

士業事務所が退職勧奨を検討すべきケース

どのような場合に退職勧奨を検討すべきでしょうか。士業特有の事情としては、資格保持者としての倫理観や、クライアントへの影響が挙げられます。例えば、度重なる業務上のミスが改善されない場合や、顧問先からのクレームが頻発しているケースです。また、事務所の経営方針に合わず、他の職員に悪影響を及ぼしている場合も対象となり得ます。

能力不足を理由とする場合、単に「仕事ができない」と断じるのではなく、具体的な指導内容や改善の機会を与えた事実が必要です。これらのプロセスを経ても改善が見られない場合、事務所と本人の双方にとって、別の道を探ることが最善の選択肢となる場合があります。

円満な合意を目指す退職勧奨の具体的ステップ

退職勧奨を成功させるためには、事前の準備と丁寧なコミュニケーションが欠かせません。場当たり的な対応は感情的な対立を招くため、以下の手順を遵守してください。

現状の課題整理と証拠の収集

まずは、なぜ退職勧奨が必要なのかを客観的な事実に基づいて整理します。遅刻の記録、業務指示に対する不履行、ミスの履歴、同僚からの苦情などを時系列でまとめます。士業の現場では、実務の精度がサービスの質に直結するため、具体的なミスがどれほどの損失やリスクを招いたかを明確にすることが重要です。これらの証拠は、面談時に本人へ説明する際の根拠となります。

面談の実施と合意書の作成

準備が整ったら面談を行います。高圧的な態度は避け、事務所の現状と本人のパフォーマンスの乖離を冷静に伝えます。その上で、今後改善が見込めるかという視点から、退職という選択肢を提示します。合意に至った場合は、必ず「合意退職合意書」を作成してください。退職日、退職金の加算(もしあれば)、秘密保持義務、競業避止義務、そして「以後、一切の異議申し立てを行わない」という清算条項を盛り込むことが鉄則です。

士業ならではの注意点とトラブル防止策

士業事務所には、一般的な企業とは異なる特有のリスクが存在します。法に精通した職員や、顧客情報を直接扱う職種だからこそ、以下の点に留意が必要です。

退職強要にならないための配慮

退職勧奨が「退職強要」とみなされると、不法行為として損害賠償を請求される恐れがあります。長時間の面談、多人数による包囲、激しい叱責、執拗な繰り返しなどは厳禁です。本人の自由な意思決定を妨げないよう、検討の時間を与えるなどの配慮を見せてください。面談の内容は、後のトラブルに備えて必ず録音、または詳細な議事録を作成しておくことが賢明です。

情報漏洩と引き抜きの防止

士業の職員が退職する際、最も懸念されるのが担当していたクライアントの引き抜きや、機密情報の持ち出しです。退職勧奨を進める過程で、業務権限を徐々に縮小する、あるいは情報のアクセス制限を行うなどの措置を検討します。また、合意書には退職後の競業行為に関する規定を明記し、法的拘束力を持たせることが事務所を守る鍵となります。

組織の健全化を支援するHonorsの役割

退職勧奨は、経営者にとって精神的にも実務的にも大きな負担となります。特に小規模な士業事務所では、所長自らが対応に追われ、本来の専門業務に支障をきたすことも珍しくありません。株式会社Honors(オナーズ)では、士業に特化した組織コンサルティングを提供しています。労働法規に基づいた適切な対応のアドバイスから、退職後の欠員を補充するための採用支援まで、事務所の持続的な成長をトータルでサポートします。第三者の視点を入れることで、感情的な対立を和らげ、よりスムーズな解決へと導くことが可能です。

まとめ

士業事務所における退職勧奨は、法的知識に基づいた慎重なプロセスが求められます。解雇という手段を安易に選ばず、まずは対話を通じて合意を目指すことが、事務所のブランドとリスク管理の両面で正解と言えます。適切な証拠の収集、丁寧な面談、そして合意書の締結というステップを確実に踏んでください。もし対応に不安がある場合は、専門家のサポートを仰ぐことも一つの選択肢です。健全な組織環境を取り戻し、クライアントに質の高いサービスを提供し続けるための基盤を整えましょう。

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