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定年後の再雇用における賃金規定のポイント|士業が解説する適切な制度設計

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定年後の再雇用における賃金規定のポイント|士業が解説する適切な制度設計

定年退職を迎えた従業員を再雇用する継続雇用制度の導入は、深刻な人手不足に悩む企業にとって重要な課題です。しかし、再雇用時の賃金設定や規定の整備を曖昧にしていると、従業員の労働意欲低下や法的なトラブルを招く恐れがあります。本記事では、士業の視点から再雇用における賃金規定の要点と、同一労働同一賃金への対応策を詳しく解説します。

目次

再雇用制度における賃金設計の重要性

定年後の再雇用において、賃金設計は企業の労務管理における核心部分といえます。法的な要件を満たしつつ、企業の経営体力に見合った制度を構築することが求められます。

高年齢者雇用安定法の遵守

現在の法律では、希望者全員を65歳まで雇用することが企業に義務付けられています。この際、単に雇用を継続するだけでなく、適切な賃金規定を設けて運用することが重要です。高年齢者雇用安定法の趣旨を理解し、高齢者が安心して働ける環境を整える責任が企業にはあります。

労働意欲の維持とコスト抑制の両立

再雇用後の賃金は現役時代よりも下がる傾向にありますが、極端な減額は従業員のモチベーションを著しく損ないます。一方で、企業側としては人件費の膨張を防ぐ必要もあるでしょう。双方の納得感を得るためには、納得度の高い説明根拠となる規定が不可欠です。

再雇用時の賃金規定で定めるべき主な項目

再雇用者に適用される賃金体系は、正社員の規定とは別に定めるケースが一般的です。具体的な算出根拠を明確にすることがトラブル防止につながります。

基本給の決定基準

再雇用後の基本給をどのように決定するか、あらかじめ明確な基準を設けます。例えば、定年直前の基本給の一定割合とするのか、あるいは担う役割や週の勤務日数に応じた定額制にするのかを規定しましょう。職務の内容が定年前と変わる場合は、その変更点に応じた金額設定が必要となります。

賞与および退職金の取り扱い

賞与を支給するかどうか、支給する場合はどのような基準で計算するのかを定めます。再雇用者には賞与を支給しない、あるいは一律の定額支給とする運用も考えられます。また、退職金については定年時に一度精算するのか、再雇用期間終了後に別途加算があるのかを明確に区別しておかなければなりません。

各種手当の見直しと整理

役職手当や家族手当など、正社員向けの手当を再雇用者にも適用するかどうかを検討します。役職を外れる場合には役職手当を廃止するのが合理的ですが、通勤手当のように実費が発生するものについては、正社員と差をつける合理的な理由が見当たりません。手当項目ごとに、その性質を見極めた規定作りが求められます。

同一労働同一賃金への対応と注意点

近年、特に重要視されているのが「同一労働同一賃金」の原則です。パートタイム・有期雇用労働法に基づき、不合理な待遇差を設けることは認められません。

正社員との不合理な待遇差の禁止

再雇用者であっても、仕事の内容や責任の重さが正社員と全く同じであれば、賃金だけを大幅に下げることは法的なリスクを伴います。過去の判決事例を見ても、定年後の再雇用であることを理由とした賃金減額は一定程度認められるものの、職務内容との均衡が問われるようになっています。

職務内容と責任範囲の明確化

待遇に差を設けるのであれば、その根拠となる「職務内容の差異」を具体的に説明できる状態にしておきましょう。例えば、正社員には転勤や残業の可能性があるが、再雇用者はそれらを免除されているといった区分けです。こうした役割の違いを就業規則や契約書に明記することで、待遇差の合理性を証明できます。

再雇用における賃金規定改定の実務フロー

適切な規定を作成するためには、段階を踏んだ準備が必要です。場当たり的な対応は避け、長期的な視点での設計を推奨します。

現状分析と賃金シミュレーション

まずは自社の定年予定者の数と、再雇用した場合の人件費を予測します。あわせて、再雇用者に期待する役割を整理しましょう。将来的な人件費の推移をシミュレーションすることで、持続可能な賃金水準を見極めることが可能です。

就業規則の見直しと労働基準監督署への届出

決定した賃金体系を「再雇用者用就業規則」または「嘱託社員規定」として作成します。内容が確定したら、従業員代表からの意見書を添付して労働基準監督署へ届け出なければなりません。規定を変更する際は、既存の従業員への説明を丁寧に行い、合意形成を図るプロセスを大切にしてください。

士業に相談して適切な規定を整備するメリット

再雇用に関する規定整備は、労働法のみならず社会保険制度の知識も必要となる複雑な作業です。社会保険労務士などの士業に相談することで、最新の法改正に対応した漏れのない規定を作成できます。また、高年齢雇用継続給付などの公的助成を組み合わせた、従業員の手取り額を最大化しつつ企業の負担を抑える賃金設計の提案も受けられます。客観的な立場からのアドバイスは、社内への説明においても説得力を高める材料となるはずです。

まとめ

定年後の再雇用における賃金規定は、企業のコンプライアンス遵守と人材活用の両面において極めて重要な役割を果たします。不合理な待遇差を避け、役割に応じた公正な評価と賃金体系を構築することが、組織の活性化に直結します。自社にとって最適な制度設計を検討する際は、専門家である士業の知見を活用し、将来を見据えた確実な整備を進めていくことをおすすめします。

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