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士業事務所における同一労働同一賃金への対応策と経営への影響

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士業事務所における同一労働同一賃金への対応策と経営への影響

働き方改革の一環として導入された同一労働同一賃金の制度は、大企業だけでなく中小規模の士業事務所にとっても避けては通れない重要課題です。税理士、社会保険労務士、弁護士といった士業事務所では、資格保有者と事務スタッフ、あるいは正社員とパートタイム労働者が混在しており、賃金体系の設計が複雑になりがちです。適切な対応を怠ると、法的なリスクだけでなく、貴重な人材の流出を招く恐れがあります。本記事では、士業事務所が直面する同一労働同一賃金の実務的なポイントと、経営基盤を強化するための具体的なステップを解説します。

目次

同一労働同一賃金の概要と士業事務所への適用

同一労働同一賃金とは、同一企業内において、正規雇用労働者と非正規雇用労働者(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)との間で、不合理な待遇差を設けることを禁止する原則です。士業事務所においても、正社員の事務員とパートタイムの補助スタッフとの間で、職務内容が同じであるにもかかわらず賃金や福利厚生に差がある場合、改善が求められます。

制度の目的と対象となる労働形態

この制度の主な目的は、どのような雇用形態を選択しても、納得感を持って働ける環境を整備することにあります。対象となるのは、基本給、賞与、各種手当、福利厚生、教育訓練など、あらゆる待遇です。特に有期雇用スタッフを多く抱える事務所では、現状の賃金体系が「職務の内容」「責任の程度」「職務内容・配置の変更の範囲」に照らして適切かどうかを精査する必要があります。

士業事務所で発生しやすい待遇格差の事例

例えば、正社員には支給されている住宅手当や皆勤手当が、フルタイムに近い時間で働くパートスタッフに一切支給されていないケースが散見されます。また、資格の有無だけを理由に、実務の内容がほぼ同等であるにもかかわらず、賞与の有無が極端に分かれている場合も注意が必要です。これらは「不合理な差」とみなされる可能性が高い項目といえます。

士業事務所が直面する課題と不合理な格差のリスク

士業の経営現場では、長年の慣習により「正社員は月給、パートは時給」という単純な区分けがなされてきました。しかし、現代の労働法制下では、なぜその差が存在するのかを説明する義務が経営側に課せられています。

諸手当や賞与における判断基準

最高裁判所の判例によれば、通勤手当や出張旅費といった、職務内容に直接関係のない福利厚生的な性質を持つ手当については、雇用形態による差を設けることは原則として認められません。賞与に関しても、会社の業績への貢献度や、将来の役割への期待といった客観的な理由がない限り、非正規雇用者に全く支給しないという運用はリスクを伴います。

訴訟リスクと社会的信用の低下

待遇格差に対する不満が表面化した場合、労働組合からの団体交渉や、労働審判・訴訟へと発展する可能性があります。特に士業は法の番人としての側面も持つため、自事務所での法令遵守(コンプライアンス)違反は、クライアントからの信頼を著しく損なう事態を招きかねません。株式会社オナーズのような専門的なコンサルティングを活用し、客観的な視点で体制を見直すことが推奨されます。

同一労働同一賃金に対応するための具体的手順

不合理な格差を解消するためには、感覚的な判断を排除し、論理的な賃金体系を構築するプロセスが不可欠です。

職務内容の棚卸しと評価基準の明確化

まずは、事務所内の全スタッフがどのような業務に従事しているかを詳細に書き出します。責任の重さや、トラブル発生時の対応範囲、将来的な転勤や職種変更の有無などを明確に区分します。この棚卸しを行うことで、正社員とパートスタッフの待遇に差がある場合でも、その理由を職務の性質の違いとして論理的に説明できるようになります。

就業規則および賃金規定の改定

職務内容の整理が終わった後は、それに基づいた賃金規定の改定を行います。「非正規労働者には賞与を支給しない」といった一律の文言を避け、貢献度や評価基準に基づく支給条件を明文化します。また、スタッフから待遇差の内容や理由について説明を求められた際の対応マニュアルを作成しておくことも重要です。

事務所運営を強化するポジティブな活用法

同一労働同一賃金への対応を単なるコスト増や手間と捉えるのではなく、事務所の組織力を高めるチャンスとして捉える視点が求められます。

人材の定着率向上と採用力の強化

透明性の高い評価制度と納得感のある賃金体系を導入することで、スタッフのモチベーションは向上します。特に優秀なパートスタッフに対して正社員への登用ルートを示したり、職務に応じた適切な手当を支給したりすることは、離職防止に直結します。人手不足が深刻な士業業界において、労働環境の良さは強力な採用ブランディングとなります。

まとめ

士業事務所における同一労働同一賃金への対応は、リスク回避のためだけでなく、持続可能な事務所経営を実現するための基盤づくりです。職務内容を明確にし、不合理な格差を是正するプロセスを通じて、事務所全体の生産性向上を図ることができます。株式会社オナーズでは、士業事務所の経営改善や組織戦略をトータルでサポートしております。複雑な賃金設計や組織課題にお悩みの際は、ぜひ専門家への相談をご検討ください。

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