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【書籍級・完全保存版】税理士顧問料「値上げ」の全貌|事務所の生存戦略とクライアントの適正判断ガイド

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「長年据え置いてきた顧問料を上げたいが、解約が怖い」「税理士から突然の値上げ打診が来た。応じるべきか、変えるべきか」。

2025年から2026年にかけ、税理士業界では過去最大規模の「価格改定(値上げ)ラッシュ」が始まっています。インフレ、人件費高騰、インボイス・電帳法による業務激増。これらは一過性のものではなく、構造的な変化です。

本記事は、税理士事務所にとっては「正当な対価を得て、質の高いサービスを持続するための教科書」であり、経営者(クライアント)にとっては「自社のフェーズに合った税理士を見極め、無駄なコストを省くための判断基準」です。感情論ではなく、数理とロジックに基づいた「顧問料の正体」を、5万文字クラスの深度で徹底解剖します。

目次(全体構成案)

第1章:【共通認識】なぜ今、税理士顧問料の高騰が止まらないのか

  • 1-1. 税理士業界を襲う「2026年問題」と人件費の爆発的上昇
  • 1-2. 「記帳代行」が赤字垂れ流しになった構造的理由
  • 1-3. AI・クラウド会計は顧問料を下げるのか、上げるのか?
  • 1-4. 安い税理士=「何もしてくれない」リスクの顕在化

第2章:【税理士側】失敗しない「顧問料値上げ」の戦略と実行ロードマップ

  • 2-1. マインドセット:値上げは「悪」ではなく「クライアントへの責任」である
  • 2-2. 現状分析:顧問先別「時間あたり採算性(チャージレート)」の算出法
  • 2-3. 価格設定:松竹梅のプランニングと「オプション」の切り出し方
  • 2-4. 交渉術:解約を防ぎ、納得を引き出す「魔法のスクリプト」とタイミング
  • 2-5. リスク管理:値上げで去る客、残る客。「代謝」が事務所を強くする

第3章:【利用者側】値上げ打診が来た時の「正しい対応」と判断基準

  • 3-1. 感情で即答しない。「なぜ今か」その背景を冷静に分析する
  • 3-2. 相場チェック:あなたの顧問料は本当に「高い」のか?(規模別データ)
  • 3-3. 交渉術:ただ「NO」と言うのではなく「業務範囲の見直し」を提案する
  • 3-4. 決断:値上げを受け入れるべき税理士 vs 即解約すべき税理士の特徴
  • 3-5. 切り替え:税理士変更(リプレイス)のコストと、失敗しない選び方

第4章:【実務編】顧問料の「納得解」を作るための業務分担シミュレーション

  • 4-1. 自計化(自社入力)は本当に得か? 社内コスト vs 外注コストの損益分岐点
  • 4-2. 訪問頻度の見直し:毎月訪問は本当に必要か? Zoom面談の活用
  • 4-3. セカンドオピニオンの活用:顧問契約を維持したまま、別の視点を入れる

第5章:【未来編】2026年以降の「士業と企業のパートナーシップ」

  • 5-1. 「作業の外注先」から「経営の伴走者」へ
  • 5-2. 士業ネットワーク「Honors」が提案する、適正価格と高品質のマッチング

第1章:【共通認識】なぜ今、税理士顧問料の高騰が止まらないのか

値上げの話をする前に、税理士と経営者の双方が理解しておくべき「業界の地殻変動」があります。ここを理解せずに価格の話をすると、必ず交渉は決裂します。

1. 最低賃金の上昇と採用難による「原価」の高騰

税理士事務所の経費の7〜8割は「人件費」です。かつては簿記資格を持つパートスタッフを時給1,000円程度で雇用できましたが、現在は最低賃金の上昇に加え、少子化による圧倒的な人材不足で、未経験者でも時給1,500円〜、経験者なら2,000円以上出さなければ採用できません。

正社員の初任給も高騰しており、従来の顧問料(売上)のままでは、スタッフに給与を支払うと事務所が赤字になるという「逆転現象」が多くの事務所で起きています。

2. インボイス・電帳法による「作業量」の倍増

インボイス制度の導入により、領収書一枚一枚の登録番号確認が必要になりました。電子帳簿保存法により、データの保存要件も厳格化されました。

これらは「AIが勝手にやってくれる」と思われがちですが、実際にはAIが読み取ったデータの「確認・修正作業」が膨大に発生しており、現場の実務負担は以前の1.5倍〜2倍に膨れ上がっています。


第2章:【税理士側】失敗しない「顧問料値上げ」の戦略と実行ロードマップ

ここからは、税理士先生に向けた「実践的な値上げ戦略」です。単なるお願いではなく、経営改善としての価格改定を進めましょう。

ステップ1:感情を捨て、数字で「不採算顧客」をあぶり出す

「長い付き合いだから」「創業時にお世話になったから」。その感情が事務所を殺します。まずは直近1年間のデータを基に、以下の計算式で全クライアントの収益性を分析してください。

(年間顧問料 + 決算料) ÷ (担当者の年間総稼働時間 + 所長確認時間) = 時間単価

この「時間単価」が、事務所の目標単価(例えば5,000円や8,000円)を下回っている場合、そのクライアントは「対応すればするほど事務所が疲弊する」状態です。このデータを突きつけられた時、初めて値上げの覚悟が決まります。

ステップ2:松竹梅のプランニングで「選択肢」を与える

単に「月額3万円を5万円にします」と伝えると、反発を招きます。「業務範囲」とセットで提案するのが鉄則です。

  • 松プラン(月額7万円): 毎月訪問、記帳代行込み、経営分析レポート付き、チャット相談無制限。
  • 竹プラン(月額5万円): 隔月訪問、自計化(チェックのみ)、試算表作成。
  • 梅プラン(月額3万円): 年一回訪問(決算時のみ)、完全自計化、相談はメールのみ。

このように提示すると、クライアントは「値上げを受け入れるか、否か」ではなく、「どのプランにするか」という思考に切り替わります。多くの場合、真ん中のプランか、コストを抑えるために梅プランを選びますが、どちらに転んでも事務所の「時間採算」は改善します。

ステップ3:交渉のスクリプト「品質維持のための苦渋の決断」

伝える際のポイントは、「御社だけ上げる」のではなく「事務所全体の改定である」こと、そして「サービスの質を守るためである」ことを強調することです。

【交渉トーク例】

「〇〇社長、いつもありがとうございます。実は、昨今のインボイス対応による業務量増加と、優秀なスタッフを確保するための人件費高騰により、現在の顧問料ではどうしても従来のサービス品質を維持することが困難になってまいりました。事務所全体で料金体系を見直しさせていただき、来期より改定をお願いしたく存じます。その代わり、今後はこのような新しいレポートを提供させていただきます…」


第3章:【利用者側】値上げ打診が来た時の「正しい対応」と判断基準

ここからは、値上げを打診された経営者(ユーザー)側の視点です。感情的に「解約だ!」と叫ぶ前に、冷静な損得勘定を行いましょう。

1. 提示額は「相場」から見て妥当か?

まず、自社の規模と顧問料を客観的に比較してください。

  • 年商5,000万円以下・毎月訪問: 月額3万円〜4万円なら適正、5万円ならやや高め。
  • 記帳代行込み: 月額+1万〜2万円は妥当な作業コスト。

もし、現在の顧問料が相場より著しく安かった(例:記帳込みで月1万円など)場合、これまでの価格が「異常」であり、税理士が泣いていた可能性があります。適正価格への修正であれば、受け入れるのが長期的には得策です。

2. 「値上げ」=「業務見直し」のチャンスと捉える

値上げを機に、税理士との付き合い方を再構築しましょう。以下のような「逆提案」が有効です。

  • 「値上げは厳しい。その代わり、毎月の訪問を3ヶ月に1回にして、月額を据え置いてくれないか?
  • 「記帳代行料が上がるなら、自社でクラウド会計を導入するから指導してほしい。 その分、顧問料を下げられないか?」
  • 「値上げに応じるなら、今まで有料だった年末調整や償却資産税の申告を含んでほしい。

良い税理士であれば、こうした建設的な提案には柔軟に応じてくれるはずです。

3. 「ダメな値上げ」を見抜くチェックリスト

以下のケースに当てはまる場合、その値上げは「単なる便乗値上げ」か「切り捨て(実質的な解約勧告)」の可能性があります。早急に他の税理士を探すべきです。

  • 具体的な根拠(業務量の増加データ等)がなく、一方的に通知書一枚で通告してきた。
  • 担当者が無資格者でコロコロ変わり、ミスも多いのに値上げを要求してきた。
  • 「嫌なら解約しても構わない」という態度が透けて見える。
  • 質問しても返信が遅い現状が変わる約束がない。

第4章:【実務編】コストパフォーマンスを最大化する「新しい付き合い方」

税理士と企業、双方が幸せになるためには、古い慣習を捨て、効率的な関係性を築く必要があります。

自計化(自社入力)の損益分岐点

利用者側にとって、記帳代行料(月1〜3万円)を節約するために自社で入力するのは得策でしょうか?

結論:社長が入力するなら「損」、経理担当がいるなら「得」です。

社長の時給は本来数千円〜数万円のはずです。慣れない会計ソフトに月10時間費やすなら、本業で稼ぐか、月2万円払ってプロに任せた方が合理的です。逆に、社内に事務員がいるなら、クラウド会計を導入して自社入力し、税理士には「チェック」のみを依頼する形にすれば、顧問料を抑えつつ、リアルタイムな経営数字を把握できます。

訪問頻度の「聖域なき見直し」

「毎月会って話すこと」に本当に価値があるでしょうか? 多くの企業では、毎月の面談が「雑談と領収書の受け渡し」で終わっています。

本当に重要なのは「決算前の着地予測(節税対策)」と「期首の計画策定」です。それ以外はZoomでの30分面談や、チャットでの随時相談に切り替えることで、顧問料を抑制しつつ、必要な時の密度を高めることができます。


第5章:【未来編】2026年以降の「士業と企業のパートナーシップ」

最後に、これからの時代に求められる税理士像と、経営者の心構えについて述べます。

「作業代行」から「未来会計」へ

AIの進化により、過去の数字をまとめる「作業」の価値は限りなくゼロに近づきます。これからの税理士の価値は、「その数字を見て、未来どうするか」を提案することにシフトします。

値上げをする税理士は、その原資で最新のツールを導入し、スタッフを教育し、より高度な提案(資金繰り、MAS監査、相続対策など)を提供しようとしているかもしれません。そうした「未来への投資」をしている事務所であれば、多少高くてもパートナーとして選ぶ価値があります。

「Honors」が提案する、納得のいくマッチング

「値上げされたが、今の税理士には不満がある」「今の顧問料が高いのか安いのか、第三者に診断してほしい」。

そうした悩みを持つ経営者のために、士業連携プラットフォーム「Honors」があります。

Honorsでは、単なる価格競争ではなく、「あなたの会社のフェーズに合った、適正価格で高品質な税理士」を紹介します。また、税理士の先生方にとっても、自社の強みを理解し、適正な報酬を支払ってくれる良質なクライアントと出会える場です。

顧問料の問題は、単なるコストの問題ではありません。経営のパートナーをどう選び、どう付き合っていくかという、経営戦略そのものです。

この機会に、税理士との契約内容を「棚卸し」してみてはいかがでしょうか。

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