お知らせNEWS

司法書士が民事信託の提案で選ばれるための実践的手法と顧客ニーズの引き出し方

Honors

司法書士が民事信託の提案で選ばれるための実践的手法と顧客ニーズの引き出し方

相続対策や認知症対策の選択肢として、民事信託(家族信託)の注目度が高まっています。しかし、司法書士が顧客に対して民事信託を提案する際、制度の複雑さやコスト面が壁となり、受任に至らないケースも少なくありません。顧客にとって最適なスキームを構築し、かつ納得感を持って依頼していただくためには、単なる制度説明ではない「課題解決型の提案」が求められます。本記事では、司法書士が民事信託の提案において意識すべきポイントや、具体的なヒアリング方法、他制度との比較提示のコツを詳しく解説します。

目次

民事信託の提案において司法書士が直面する課題

司法書士が民事信託の提案を行う際、もっとも大きなハードルとなるのが「顧客との認識の乖離」です。専門家側は法的な柔軟性や機能性に注目しがちですが、顧客にとっては「信託報酬や組成費用の高さ」や「手続きの難解さ」が心理的な障壁となります。また、親族間の利害調整が必要なケースでは、提案自体が家族の反発を招く可能性も否定できません。これらの課題を解決するには、法律論を後回しにし、まずは「この制度を使うことで家族の未来がどう変わるのか」というベネフィットを明確に伝える必要があります。

顧客の潜在的なニーズを引き出すヒアリング手法

効果的な提案は、質の高いヒアリングから始まります。顧客自身も自分が何を求めているのかを正確に言語化できていない場合が多いため、司法書士側が適切な問いを投げかけ、ニーズを掘り起こさなければなりません。

「何を管理したいか」ではなく「どう生きたいか」を問う

不動産や預貯金の管理方法から聞き始めると、事務的な説明に終始してしまいます。それよりも、将来的に介護が必要になった際の希望や、自宅を誰に引き継ぎたいかといった、生活に根ざした希望を確認してください。例えば「認知症になっても自宅で暮らし続けたいのか、それとも施設入所の資金に充てたいのか」という具体的な選択肢を提示することで、信託の目的が「財産管理」から「安心の確保」へと変化します。

家族関係の相関図と感情面の把握

民事信託は長期にわたる仕組みであるため、受託者となる子世代の協力が不可欠です。ヒアリングでは家系図を作成するだけでなく、親族間の仲や、誰が実質的なキーマンであるかを把握します。提案の場に推定相続人を同席させるよう促すことも、後々のトラブルを防ぎ、受任率を高める有効な方法です。

成約率を高める比較提案の構成案

民事信託の優位性を理解してもらうためには、既存の制度である「遺言」や「成年後見」との比較が欠かせません。メリットだけでなく、それぞれの制度の限界を客観的に示すことで、民事信託の必要性が際立ちます。

成年後見制度との違いを明確にする

認知症対策を主眼に置く場合、法定後見制度との比較は必須です。後見制度では財産の積極的な活用や生前贈与が難しくなる点、家庭裁判所の関与により自由度が制限される点を説明します。これに対し、民事信託であれば本人の意思に基づいた柔軟な資産運用や、家族の生活支援が継続できる点を強調すると、顧客の納得感が高まります。

遺言書では実現できない「二次相続以降」の指定

遺言書は自分の次の代への承継は指定できますが、その次の代(二次相続以降)の指定は法的に効力を持ちません。先祖代々の土地を特定の血筋に引き継がせたい場合など、数代先にわたる承継を希望するケースでは、信託特有の「受益者連続型信託」の機能を提案します。これは遺言にはない強力な武器となります。

提案時に留意すべきリスク説明とコンプライアンス

司法書士として信頼を勝ち取るためには、負の側面も誠実に説明しなければなりません。特に税務面については、税理士との連携を前提にしつつ、委託者から受託者へ形式的に名義が変わることによる不動産取得税や登録免許税の発生、信託期間中の計算報告書の作成義務などを伝えます。また、遺留分を侵害するような信託設計は将来の紛争の火種となるため、遺留分への配慮も含めたトータルな設計を提示することが重要です。

司法書士法人オナーズの民事信託サポート

司法書士法人オナーズでは、これまでに数多くの民事信託(家族信託)をサポートしてきた実績があります。単なる書類作成にとどまらず、家族会議のファシリテーションから、将来の運用を見据えたコンサルティングまでを幅広く提供しています。他士業とも連携し、税務や実務上のリスクを最小限に抑えたスキーム構築を得意としています。複雑な家族状況や多額の資産管理にお悩みの場合は、専門家チームによる最適な解決策を提案いたします。

まとめ

司法書士が民事信託を提案する際に重要なのは、法律の知識をひけらかすことではなく、顧客の「家族への想い」に寄り添う姿勢です。適切なヒアリングを行い、他の制度との比較を分かりやすく提示することで、顧客は民事信託という選択肢に価値を感じるようになります。確かな知識と経験に基づいた提案を行い、顧客の不安を解消するパートナーを目指しましょう。相続や財産管理の形は家族の数だけ存在します。一つひとつのケースに真摯に向き合うことが、選ばれる司法書士への近道です。

こちらもおすすめ