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士業が守るべき営業秘密とは?情報漏洩のリスクとITによる具体的な対策を解説

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士業が守るべき営業秘密とは?情報漏洩のリスクとITによる具体的な対策を解説

弁護士、税理士、社会保険労務士といった士業事務所は、顧客の極めて機密性の高い情報を扱う職種です。近年、テレワークの普及や業務のデジタル化が進む中で、意図しない形での「営業秘密」の漏洩リスクが高まっています。ひとたび情報漏洩が発生すれば、法的責任を問われるだけでなく、長年築き上げた事務所の信頼を瞬時に失うことになりかねません。本記事では、士業が守るべき営業秘密の定義から、漏洩時のリスク、そして具体的なセキュリティ対策までを詳しく解説します。

目次

営業秘密の定義と士業における重要性

士業事務所において、情報の適切な管理は業務の根幹を成すものです。まずは、法律上の「営業秘密」が何を指すのかを整理しましょう。

不正競争防止法における営業秘密の3要件

不正競争防止法において、営業秘密として保護されるためには以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。一つ目は「秘密管理性」です。これは、情報が秘密として客観的に認識できる状態で管理されていることを指します。二つ目は「有用性」であり、その情報が事業活動において役立つものであること。そして三つ目が「非公知性」です。一般には知られていない、その事務所や顧客独自の情報を意味します。これらの要件を満たしていない場合、万が一情報が流出しても法的保護を受けられない可能性があるため注意が必要です。

士業が扱う営業秘密の具体例

士業が扱う情報は、その多くが営業秘密に該当します。顧客名簿や取引先情報はもとより、税務申告に必要な財務データ、訴訟戦略、特許出願前の技術情報、さらには顧問先の給与データや就業規則案などが挙げられるでしょう。これらは顧客のビジネスにおいて極めて価値が高く、第三者に知られることで顧客が多大な不利益を被る性質のものです。そのため、一般企業以上に厳格な管理が求められるのは言うまでもありません。

情報漏洩が士業事務所にもたらす致命的なリスク

もし営業秘密が外部へ漏洩してしまった場合、事務所が被るダメージは計り知れません。主なリスクは以下の3点に集約されます。

損害賠償請求と法的責任

漏洩した情報によって顧客に経済的損失が生じた場合、民事上の損害賠償責任を負うことになります。士業は専門家として高い注意義務が課されているため、管理体制の不備を理由に高額な賠償を命じられるケースも少なくありません。また、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)への違反として、行政処分の対象となる可能性も存在します。

顧客からの信頼失墜と廃業の危機

士業のビジネスは「信頼」という無形の資産で成り立っています。情報漏洩の事実は即座に業界内や既存顧客へ広まり、新規案件の獲得が困難になるばかりか、既存の顧問契約を解約される事態を招きます。一度失った信頼を回復するには膨大な年月が必要であり、結果として事務所の経営が立ち行かなくなるケースも現実に起こっています。

懲戒処分や資格停止の可能性

各士業法(弁護士法、税理士法など)には守秘義務が規定されています。情報漏洩はこれらの法令違反に該当し、所属する会や監督官庁からの懲戒対象となります。戒告だけでなく、一定期間の業務停止や、最悪の場合は資格剥奪という極めて重い処分が下されることも覚悟しなければなりません。

営業秘密が漏洩する主な原因

対策を立てるためには、どのような経路で情報が漏れるのかを知ることが不可欠です。主な原因を見ていきましょう。

内部不正やヒューマンエラーによる流出

意外にも多いのが、所内の人間によるミスです。メールの誤送信、USBメモリの紛失、書類の放置といった単純な不注意から情報が流出します。また、悪意のある職員がデータを私用のクラウドストレージに保存したり、スマートフォンのカメラで撮影したりして持ち出すケースも無視できません。内部の人間だからといって過信せず、権限設定を適切に行うことが重要です。

外部からのサイバー攻撃

士業事務所がターゲットとなるサイバー攻撃も急増しています。OSやソフトの脆弱性を突いた不正アクセス、ウイルス感染を狙った標的型メール、データを人質に取るランサムウェアなどが代表的です。特に士業は、大手企業への侵入を狙うための踏み台(サプライチェーン攻撃)として狙われることも多く、自事務所だけでなく取引先全体に被害を及ぼす危険性があります。

退職者によるデータの持ち出し

事務所を離れる職員が、担当していた顧客データを持ち出し、転職先や独立先で利用するトラブルも頻発しています。退職時の誓約書の取り交わしが不十分であったり、退職後もシステムのアカウントが有効なままになっていたりする場合に発生しやすくなります。データの持ち出しが容易な環境であれば、営業秘密を守ることはできません。

士業事務所が取り組むべき情報漏洩対策

情報漏洩を防ぎ、営業秘密を確実に保護するためには、多層的なアプローチが必要です。

技術的なセキュリティ対策(IT環境の整備)

まずはITインフラの強化が最優先です。セキュリティソフトの導入はもちろん、多要素認証(MFA)の必須化、通信の暗号化(VPNの活用)、デバイスの暗号化などが挙げられます。また、職員ごとにアクセス権限を細かく設定し、不要なデータに触れられない仕組みを作ることも有効です。株式会社オナーズでは、士業特有の業務フローに合わせたセキュアなIT環境構築をサポートしています。

物理的・組織的な管理体制の構築

デジタルデータだけでなく、紙媒体の管理も疎かにはできません。書庫の施錠や、入退室の記録、クリアデスクの徹底といった物理的な対策を行いましょう。組織面では、情報管理規程を整備し、秘密保持誓約書を全職員から徴収することが基本となります。万が一事故が発生した際の連絡体制を事前に決めておくことも、被害を最小限に抑えるポイントです。

職員への教育と意識改革

どれほど優れたシステムを導入しても、扱う人間の意識が低ければ漏洩は防げません。定期的なセキュリティ研修を実施し、最新の攻撃手法や情報取り扱いのルールを共有しましょう。「これくらいなら大丈夫だろう」という慢心を排除し、事務所全体で情報を守る文化を醸成することが、最も効果的な防御策となります。

専門家によるITサポートの活用

士業の先生方は、本来の専門業務に集中すべきであり、日々高度化するITセキュリティ対策をすべて自前で完結させるのは容易ではありません。特に小規模な事務所では、専任のIT担当者を置くことも難しいのが現状でしょう。そこで検討したいのが、外部のIT専門家によるサポートです。事務所の現在のセキュリティ状況を診断し、リスクを可視化した上で、最適なソリューションを提案・運用代行してもらうことで、安全かつ効率的な業務環境を実現できます。株式会社オナーズは、士業事務所のDX支援やセキュリティ強化において多くの実績があり、伴走型のサポートを提供しています。

まとめ

士業における営業秘密の管理は、単なる事務作業ではなく、事務所の存続に関わる経営課題です。情報漏洩はいつどこで発生するか分からず、その影響は甚大です。不正競争防止法の要件を確認し、技術・物理・組織の各側面から漏洩の原因を潰していく努力が求められます。IT環境の整備に不安がある場合は、専門家の力を借りることも有効な選択肢となります。信頼を土台とする士業だからこそ、鉄壁のセキュリティ体制を整え、顧客が安心して相談できる環境を維持していきましょう。

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