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士業がLLP(有限責任事業組合)を設立するメリットと具体的な手順を解説

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士業がLLP(有限責任事業組合)を設立するメリットと具体的な手順を解説

複数の士業が連携してビジネスを展開する際、どのような組織形態を選択するかは事業の成否を分ける重要なポイントです。近年、専門知識を持つプロフェッショナル同士の共同事業体として注目を集めているのがLLP(有限責任事業組合)です。株式会社や合同会社とは異なる、LLPならではの「パススルー課税」や「内部自治の自由」は、士業の柔軟な働き方に合致しています。本記事では、士業がLLPを設立する具体的なメリットや、設立に向けた詳細な手順、運営上の注意点について、専門的な知見から詳しく解説します。

目次

LLP(有限責任事業組合)の基本概念と士業にとっての意義

LLP(Limited Liability Partnership)は、日本語で「有限責任事業組合」と呼ばれます。2005年に施行された有限責任事業組合契約法に基づき、個人や法人が共同で事業を行うための組織として誕生しました。

LLPとは何か:共同事業を支える組織形態

LLPは、株式会社のような「法人」ではなく、あくまで「契約」に基づいた組合組織です。そのため、構成員全員が業務を執行することが原則とされています。士業が個々の専門性を持ち寄り、ワンストップサービスを提供するためのプラットフォームとして、LLPは非常に有効な選択肢となります。税理士、行政書士、社労士などが互いの独立性を保ちつつ、大型案件に対応するために結成されるケースが多く見られます。

士業法人や合同会社との決定的な違い

大きな違いは「法人格の有無」と「税制」にあります。士業法人は各業法に基づいた法人格を持ちますが、LLPは法人格を持ちません。しかし、登記をすることで対外的な信用力を得ることが可能です。また、合同会社は会社として法人税が課されますが、LLPは組織自体には課税されないという特徴があります。これにより、構成員への利益分配がダイレクトに行えるため、専門家の集まりに適した構造となっています。

士業がLLPを設立する主なメリット

士業がLLPを活用することで得られる最大の利点は、経営の柔軟性と税務上の効率性にあります。

構成員課税(パススルー課税)による節税効果

LLPの最大の特徴は「パススルー課税」です。これは、LLPが稼いだ利益に対して直接課税されず、その利益を出資者である各構成員に配分し、各々の所得として課税される仕組みを指します。法人税と所得税の二重課税を回避できるため、高所得の士業が集まる場合、各自の確定申告で損益通算ができるなどのメリットがあります。事業で赤字が出た場合も、構成員が持つ他の所得と相殺できる点は、新規事業の立ち上げ期において大きな強みとなります。

損益分配や意思決定の柔軟性

株式会社の場合、配当は出資比率に応じて行わなければなりませんが、LLPでは組合契約で自由に定めることができます。例えば、出資額は少なくても、プロジェクトへの貢献度が高いメンバーに対して多くの利益を分配することが可能です。知見や労働力を提供するプロフェッショナルな士業にとって、この「内部自治の原則」は非常に納得感のある仕組みといえます。

有限責任によるリスクの限定

民法上の組合とは異なり、LLPの構成員は「有限責任」です。万が一、LLPの事業で負債が生じたとしても、構成員は自身の出資額の範囲内までしか責任を負いません。複数の士業が協力する際、他者の過失によるリスクから自身の個人資産を守れることは、共同事業を推進する上での安心材料となります。ただし、士業としての専門業務上の責任(過失など)については、各士業法の定めに従う必要がある点には注意が必要です。

士業LLP設立の具体的な流れと必要書類

LLPの設立手続きは、株式会社と比較してシンプルで費用も抑えられます。

組合契約書の作成と重要項目

LLP設立の第一歩は、構成員間での組合契約書の作成です。これには事業目的、名称、所在地のほか、出資額、事業年度、そして「構成員全員が業務を執行すること」などを明記します。特に士業同士の場合、業務分担や利益分配の割合、意思決定のルールを詳細に定めておくことが、将来のトラブル防止につながります。公証役場での定款認証は不要であるため、その分の費用を節約できるメリットもあります。

出資の履行と法務局への登記申請

契約の締結後、各構成員は出資金を払い込みます。出資は金銭だけでなく、PCや事務所備品などの現物出資も認められます。その後、主たる事務所の所在地を管轄する法務局へ登記申請を行います。登録免許税は一律6万円です。書類に不備がなければ、1週間から10日程度で登記が完了し、LLPとして正式に活動を開始できます。

LLP運営における注意点と実務上のアドバイス

自由度の高いLLPですが、運用にあたっては独特のルールを理解しておく必要があります。

所得税の確定申告と経理処理のポイント

LLPは法人格を持ちませんが、会計帳簿の作成義務があります。毎年、事業年度終了後には各構成員に対して損益を分配するための「有限責任事業組合等に係る組合員計算書」等を作成し、税務署へ提出しなければなりません。各士業個人は、この通知に基づき自身の事業所得として申告を行います。複式簿記による適切な管理が必要となるため、 Honors株式会社のようなバックオフィス支援の専門家のサポートを受けることも検討すべきでしょう。

構成員の脱退や解散に関するルール作り

LLPは少なくとも2名以上の構成員が必要です。1名になった時点で解散事由となるため、士業の1人が急病や引退で離脱する場合の対応を事前に決めておくべきです。また、LLPから株式会社等への組織変更は認められていません。事業規模が拡大し、将来的に法人化を視野に入れている場合は、最初から合同会社などの選択肢と比較検討することが重要です。

まとめ

LLPは、専門性を武器にする士業にとって、低コストで柔軟な共同事業を実現できる優れたツールです。パススルー課税による節税メリットを享受しつつ、個々の自由な裁量を維持したまま連携を深めることが可能です。一方で、特有の会計処理や契約実務など、注意すべき点も存在します。円滑な設立と運営を目指すなら、実績のあるコンサルティング会社や専門家の知見を活用し、強固なビジネス基盤を構築することをおすすめします。Honors株式会社では、士業の皆様のバックオフィス業務をトータルでサポートし、より付加価値の高い業務に専念できる環境づくりをお手伝いしています。

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