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定年延長と再雇用における賃金設定の最適解と法的リスクへの対応
定年延長と再雇用における賃金設定の最適解と法的リスクへの対応
高年齢者雇用安定法の改正により、企業には70歳までの就業機会確保が努力義務化されました。この流れを受け、多くの企業が定年延長や再雇用制度の見直しを迫られています。その際、最も経営上の課題となるのが「賃金設定」です。適正な報酬水準を維持しつつ、人件費のコントロールとベテラン社員のモチベーション維持をいかに両立させるべきか。本記事では、最新の統計データと法的留意点を踏まえた賃金設計のポイントを解説します。
目次
定年延長・再雇用における賃金水準の現状
定年後の継続雇用制度において、多くの企業が賃金の見直しを行っています。厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」の結果を参考にすると、定年到達後の賃金水準は定年直前の水準と比較して、6割から7割程度に設定している企業が一般的です。また、定年延長を導入した企業においても、役割や責任の範囲を見直すことで、賃金カーブを緩やかに設定する事例が増えています。ただし、単に「高齢だから」という理由で一律に減額することは、後のトラブルを招く要因となります(出典:厚生労働省|令和5年就労条件総合調査)。
同一労働同一賃金の原則と法的リスクの回避
再雇用制度を運用する上で避けて通れないのが「同一労働同一賃金」への対応です。正社員と定年後再雇用された有期雇用労働者の間で、業務内容や責任の範囲、転勤の有無などが同じであるにもかかわらず、賃金に不合理な格差を設けることは法律で禁じられています。最高裁判所の判例においても、職務内容の変更がないまま大幅に賃金を下げることは不合理とされるリスクが示唆されています。企業は、賃金に差を設ける場合には、その理由が客観的かつ合理的なものであることを説明できる体制を整えなければなりません。具体的には、役割の変更を明確に定義し、それに基づいた報酬体系を構築することが求められます。
納得感のある賃金制度を設計する3つのステップ
定年延長や再雇用における賃金設定を円滑に進めるためには、以下のステップでの検討が有効です。第一に、現在の職務内容を棚卸しし、定年後も継続する業務と、後進に譲る業務を切り分けます。第二に、その役割に応じた評価指標を設定します。成果や貢献度を反映できる仕組みを取り入れることで、ベテラン社員の意欲向上につながります。第三に、高年齢雇用継続給付などの公的給付金や年金との併給シミュレーションを行い、本人の手取り額に配慮した設計を行うことが重要です。オナーズ株式会社では、企業の現状に合わせた人事制度の再構築を支援しています。
まとめ
定年延長や再雇用における賃金設定は、法的なコンプライアンス遵守と、ベテラン人材の有効活用という二つの側面から慎重に検討する必要があります。統計データを参考にしつつも、自社の業務内容に即した合理的な賃金体系を構築することが、企業の持続的な成長には不可欠です。制度設計に不安がある場合は、専門家のアドバイスを受けながら、労使双方が納得できる仕組み作りを目指しましょう。
