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人的資本経営の開示義務化とは?対象企業や項目、対応のポイントを解説

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人的資本経営の開示義務化とは?対象企業や項目、対応のポイントを解説

2023年度から、日本の一部上場企業を対象に人的資本情報の開示が義務化されました。これにより、企業は単なる財務情報だけでなく、人材への投資や育成方針といった「非財務情報」を投資家やステークホルダーに透明性を持って伝えることが求められています。人的資本経営は、人材を「コスト」ではなく「資本」と捉え、その価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値向上につなげる経営手法です。本記事では、株式会社オナーズの視点から、開示義務化の背景、具体的な対象項目、そして義務化への対応を企業の成長機会に変えるための具体的なステップについて詳しく解説します。

目次

人的資本経営の開示義務化の背景と対象企業

日本における人的資本情報の開示義務化は、2023年1月に金融庁が改正した「企業内容等の開示に関する内閣府令」によって明確に規定されました。これにより、2023年3月期以降の有価証券報告書から、人的資本に関する情報の記載が必須となっています。この背景には、欧米を中心としたESG投資の拡大や、国際標準規格であるISO 30414の制定など、人材価値を可視化する世界的な流れがあります。日本政府も「新しい資本主義」の柱として人的資本投資を掲げており、企業の成長戦略としての透明性を重視しています(出典:金融庁:企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令案等に対するパブリックコメントの結果等について)。

義務化の対象となるのは、金融商品取引法に基づき有価証券報告書を提出する義務がある約4,000社の上場企業です。現時点では非上場の中小企業に法的義務はありませんが、大手企業との取引や人材獲得競争、さらには金融機関からの融資判断において、同様の開示姿勢が求められるケースが増えています。そのため、上場企業のみならず、全ての企業にとって人的資本の可視化は避けて通れない経営課題といえます。

開示が求められる「7分野19項目」の具体的内容

開示項目は、大きく分けて「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」の4つの枠組みで構成されます。さらに具体的な指標として、内閣官房が公表した「人的資本可視化指針」では、以下の7分野19項目が例示されています(出典:内閣官房:人的資本可視化指針)。

1.人材育成:研修時間や費用、後継者計画の進捗
2.エンゲージメント:従業員満足度調査の結果
3.流動性:採用数、離職率、多様な採用形態
4.ダイバーシティ:女性管理職比率、男性育児休業取得率、男女間賃金格差
5.健康・安全:労働災害の発生状況、健康診断受診率
6.労働慣行:児童労働・強制労働の防止、コンプライアンス
7.コンプライアンス・倫理:倫理規定の遵守状況

特に「女性管理職比率」「男性育児休業取得率」「男女間賃金格差」の3項目については、有価証券報告書内での記載が必須となっており、企業のダイバーシティ推進状況を比較する重要な指標となっています。これらの数値を単に公開するだけでなく、なぜその数値になっているのか、今後どのように改善していくのかという「ストーリー」を併せて説明することが、投資家からの信頼を獲得する鍵となります。

義務化対応における実務上のポイントと課題

多くの企業が直面する課題は、データの収集と整理です。人財データが各部署やシステムに散在している場合、正確な数値を迅速に集計することは困難です。義務化対応を効率的に進めるためには、まず社内の人事システムを統合し、リアルタイムで指標を把握できる環境を整える必要があります。また、人的資本経営は人事部だけの問題ではなく、経営戦略と密接に連動している必要があります。経営陣が「どのような人材が自社の成長に不可欠か」を定義し、それを具体的なKPIとして落とし込むプロセスが不可欠です。

株式会社オナーズでは、こうした人的資本の可視化から、戦略的な人材採用・組織構築までをトータルでサポートしています。開示を単なる「事務的な義務」として捉えるのではなく、自社の強みを再定義し、優秀な人材を引き寄せるための「ブランディング」として活用することが、競争優位性を築くための近道です。

まとめ

人的資本経営の開示義務化は、日本企業にとって大きな転換点です。2023年3月期から始まったこの制度は、投資家に対して自社の持続的な成長性を証明する重要な手段となりました。対象企業は有価証券報告書を通じて、多様性や育成、エンゲージメントといった項目を具体的に示さなければなりません。義務化への対応を形式的なものに留めず、自社の経営理念に基づいた人材戦略を策定・実行することで、長期的な企業価値の向上を目指しましょう。

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